サブ領域について
医学教育モデル・コア・カリキュラム中項目:E-7 成長と発達
近年の小児科学には、疾病の治療や予防だけでなく小児の健全育成への積極的関与の社会的要請が強い。
小児科学は、発達小児科学と小児病態学に分けられる。
前者は小児の成長発達の年齢的傾向を明らかにし、児童の健全育成を取り扱う。後者は小児病学とも呼ばれ、疾病の診断と治療を取り扱う。
講義では、基礎医学と内科学等で学んだ病態学を基礎にして、小児の成長と小児特有の病態や疾患について学ぶ。
さらに小児によくみられる症候から診断への Problem Oriented System による病態評価と診断組み立て(臨床推論)と、その Problem Oriented Medical Recordでの記載方法を理解する。
講義は小児内科領域、新生児領域、小児外科領域から構成する。これら3領域の疾患は互いに関連し、連続的な病態である。
ユニット名称: 小児科学 (2021年度)
ユニット責任者 | 松裏 裕行 |
ユニット対象学年 | 3 |
ユニット授業期間 | |
ユニット時限数 | 44 |
ユニット分類 | 講義 |
ユニットについて
■ 授業日程は、小児の発達・各疾患領域を学ぶ系統講義、小児の代表的症候を軸に診断の組み立てを学ぶ症候学講義、最新の知識をExpertから学ぶ講義、講義の予習復習を評価する中間試験を組み入れてある。
■ 症候学講義の目的は系統講義で習得した知識を実際の患者にあてはめ、患者のもつ問題を解決する方法、つまり知識上の疾患から実際の病気へのアプローチ、診断の組み立てと問題解決を学ぶことである。
■ 小児科講義ガイドによる準備学修と復習
小児科学の領域(感染症や消化器など)毎に講義ガイドを作成している。講義開始前に教育ポータルに掲示する。講義ガイドは教科書を読む際に利用し、重要点や学習の深さを指示してある。また準備学修で学ぶ症例問題や、advance領域も指示する。準備学習・復習の目安は各30分である。
■ 小児科症候学のテーマはおおよそ次の通りである。
発熱(感染症、FUO、膠原病、免疫異常症)、急性腹症・血便下血(嘔吐、下痢、腹痛、腹部膨満、下血、便秘)、意識障害・けいれん(頭痛、けいれん、意識障害)、発達の遅れ・異常(floppy infant、麻痺、精神発達遅滞、言語発達遅滞、進行性脳障害、行動異常)、貧血・出血傾向、肝脾腫大(血液腫瘍、代謝異常(先天性を含む))、アレルギー、発育の異常、内分泌の異常(先天性を含む)、尿の異常(浮腫、尿および排尿の異常)、心臓の異常(チアノーゼ、心不全、心音の異常、心雑音)、奇形症候群(染色体異常および遺伝相談を含む)、保健指導、食事療法、薬物療法、輸液療法などである。
■ 医学教育モデル・コア・カリキュラム小項目ではE-7(-1、-2, -3、−4)が該当する。
受講前に必要とされる知識及び技能・態度
必須事項:正常な身体生理機能の理解、基礎医学で学んだ発生学、解剖学、生理学を知っている。内科学で学んだ臓器系の異常やその治療法の概略を理解している。症候学で学んだ臨床推論の基本を知っている。成人の治療のstandardを知っている。
態度:知識の習得(記憶)に留まることなく、知識を利用した臨床推論を学び取る態度が求められる。
ユニットの評価について(フィードバック含む)
該当するサブ領域は本ユニット単独で構成され、本ユニットがサブ領域の100%である。
講義期間中に中間試験 計4回 を実施する。
中間試験の試験内容は基本問題理解と解釈の到達度を問う問題、医学英単語試験で構成する。
講義期間終了後に包括評価試験を実施する。
知識を問う基本問題、理解と解釈の到達度を問う問題、症例解釈問題、医学英単語問題で構成する。
4回の中間試験は当分に評価し包括試験と合わせ総合的に評価する。
指定教科書他
1) 「標準小児科学、第8版」 内山聖編、医学書院、2013
2) Nelson Textbook of Pediatrics,21版,Kliegman RM, ed., Elsevier, 2020
3) 「小児科学、第10版」五十嵐隆編、文光堂、2011
4) 「講義録 小児科学」佐地勉他編、メジカルビュー社、2008
5) ベイツ診察法ポケットガイド 第3版 メディカル・サイエンス・インターナショナル社、2015