領域について
社会医学は、人間集団の健康を現実の生活環境の中で扱う科学である。
医学を支える基礎理論には、生物学的医学と社会医学の2つがある。生物学的医学は、実験室における客観的観察によって、個体を臓器に、臓器を組織に、組織を細胞に、細胞を分子に分割する。疾病は単一の分子や細菌から説明される。それは分析的である。これに対して社会医学では、実験室ではなくて、生活環境の中にいる生きた人間、および人間集団を直接、観察し、具体的な対策を考える。医師も対象者と同じ生活環境に加わる。それは実践的であるが故に、統合的思考が求められる。
社会医学1(領域)は、社会医学に関する知識を修得し、説明できるようになることを目的とする。
社会医学1(領域)は、社会医学1-①(サブ領域)、社会医学1-②(サブ領域)から構成される。
社会医学1(領域)は、医学教育モデル・コア・カリキュラムの大項目のAおよびBに該当する。
領域の評価について
社会医学1(領域)では主に認知的領域(知識、理解、思考、判断)の到達度を筆記試験により評価する。
精神運動的領域(技能、コミュニケーションスキル、アカデミックスキル)と情意的領域(態度、意欲、関心)の到達度は、主に社会医学2(領域)の社会医学実習(サブ領域)で評価する。
筆記試験はサブ領域ごとに行う。
社会医学1(領域)に属するすべてのサブ領域が、GPA評価でグレードC以上の場合を合格とする。
社会医学1(領域)に属する一部または全てのサブ領域が、GPA評価でグレードDまたはFの場合を不合格とする。
サブ領域について
プロフェッショナリズム、Evidence Based Medicine、個人情報管理、チーム医療、地域医療、医学研究、疫学、生活習慣病、保健学、保健・医療・福祉・介護の制度、法医学、関連法規等について理解し、説明できるようになることを目的とする。
社会医学1-①(サブ領域)は公衆衛生学/医療政策・経営科学、衛生学、疫学/医療統計学の各ユニットから構成される。
各ユニットが担当する内容は次の通り。
公衆衛生/医療政策・経営科学:社会保障制度、医療経済、医療関連法規、食習慣・運動・休養、地域保健、精神保健、母子保健、学校保健、成人保健、高齢者保健、食品保健等
衛生学:産業保健、環境衛生等
疫学/医療統計学:疫学、医療統計学等
社会医学1-①(サブ領域)は、医学教育モデル・コア・カリキュラムの中項目A-1、A-2、A-4、A-5、A-7、A-8、B-1、B-2、B-3、B-4に該当する。
ユニット名称: 衛生学 (2021年度)
ユニット責任者 | 西脇 祐司 |
ユニット対象学年 | 3 |
ユニット授業期間 | |
ユニット時限数 | 15 |
ユニット分類 | 講義 |
ユニットについて
衛生学では、社会・環境要因と人間の健康についての関係を理解することに重点を置いている。講義では、物理的環境、化学的環境、空気環境、水環境、生活環境、栄養環境、社会環境、労働環境と健康との関連について講義するほか、過去の公害問題についても取り上げる。
また、こうした衛生学上の問題解決のための環境保健の方法について、視聴覚資料等を用いながら講義する。
一連の講義により、学生は、種々の環境と健康との関連について説明ができる。また、衛生学上の問題解決のための環境保健の方法や、環境曝露因子の測定法についても身につけることができる。
講義聴講前に各講義項目に明記された教科書・参考書の該当する箇所を読んでおくこと(約30分)。
B-1-4),B-1-5),B-1-6),B-1-8)
受講前に必要とされる知識及び技能・態度
受講前に必要される知識はとくにないが、講義でとりあげる内容が、一般的な生活環境に加え、種々の労働環境を取り上げるため、興味の対象を幅広くとらえ、柔軟に対応していく姿勢が求められる。
ユニットの評価について(フィードバック含む)
到達目標に掲げた全項目についての知識を問うため、筆記試験(30%程度のMCQを含む)による評価を行う。
サブ領域を構成する各ユニットについて、衛生学35%、公衆衛生/医療政策・経営科学30%、疫学/医療統計学35%の配点で評価を行い、全ユニットの評価の合計を100点としてサブ領域の評価とする。
衛生学ユニットでは、定期試験後の一定期間、解答例を教育ポータルに掲載する。
指定教科書他
教科書
(1) New 予防医学・公衆衛生学 南江堂
参考書
(1) 国民衛生の動向(最新版) 厚生統計協会
(2) 環境疫学入門 岩波書店
(3) はじめて学ぶやさしい疫学 日本疫学会編集 南江堂