領域名称: 臨床医学7 (2024年度)

領域責任者鷲澤 尚宏

領域について

 デカルトの時代から自然科学の手法はできるだけ細かく、必要な要素に分けて考える還元論が主流でした。とくに物理学は要素還元論により発展しましたが、計算できない複雑な現象への対応が問題となり、複雑系科学が20世紀に産声をあげました。医学とくに臨床医学は未だに臓器に分けて考える臓器還元論が主流です。もっとも複雑なシステムと考えられる生体の変化を考えるとき、還元論は思考材料が限られるため、参入しやすいものの、物理学と同様に限界があります。
 
 臨床医学7は、M3までの系統講義で学んだ知識を背景として、生体各臓器が共有する免疫系、内分泌系、神経系、生化学的システムなどの理解を深めて、臨床推論力を高め、日常診療で遭遇する症候すべての対応を身につけ、特殊な治療以外はすべて完結できる能力を目指します。多細胞生物であるヒトは、細胞間の相互作用によって一定の機能をもった細胞集団により臓器が形成され、さらに各臓器が相互作用を行って生物としてのヒトが成立しています。臓器間のクロストークは内分泌系・神経系のネットワークが大きな役割を演じます。移植・再生医療においては各論的な有用性とともに、ネットワークを変更する意義を考えて見ます。ネットワークが破綻して機能を喪失したときに活躍するリハビリテーション医学だけではなく、もっとも重大な機能障害である低栄養についても学びます。一方、ノンテクニカルスキルの涵養も臨床医学7における大きな目標です。医療安全を通して、自分の行動を客観的に評価し、失敗から眼を逸らさず対応するための方法論を学びます。
 以上の講義を通して、アルゴリズムやガイドラインでは対応できない診断困難例に対しても、決して投げ出さず、臨床推論を粘り強く展開し、問題解決するスキルと責任感のある医師の養成を目指します。各サブ領域の学修目標は以下の通りです。
 
 1.総合医療系:①高齢者医療:高齢者健康増の目標を理解し、高齢者医療領域と関連医療制度を説明できる。
        ②地域・僻地医療: 高齢社会と健康問題の変化を理解し、僻地・離島での医療の現状から問題点を議論できる。
        ③総合・家庭医療:多様化する医療ニーズへの対応を学び、幸福度の高い医療について述べることができる。
        ④東洋医学:和漢薬、漢方薬の特徴や使用の現状について概説できる。
 2.医療安全:医療安全だけではなく、感染管理、ノンテクニカルスキルなどを学びます。
 3.リハビリテーション医学:内臓リハビリテーション、嚥下評価などが含まれます。
 4.臨床栄養学:消化吸収、栄養代謝から栄養指導、食事療法、中心静脈栄養など、多岐に及びます。
 5.移植再生医療:臓器移植、再生医療、角膜移植、便移植なども学びます。
 

領域の評価について

 GPA評価でグレードC以上の場合、臨床医学7は合格となります。
 

サブ領域名称: 臨床医学7 (2024年度)

サブ領域責任者鷲澤 尚宏

サブ領域について

ユニット構成:臨床医学7(総合医学)はサブ領域「臨床医学7」として、以下のユニットで構成されます。
1.総合医療系
2.医療安全
3.リハビリテーション医学
4.臨床栄養学
5.移植再生医療

学修目標:

1.総合医療系:高齢者医療、地域・僻地医療、総合・家庭医療、東洋医学を学びます。
2.医療安全:医療安全だけではなく、感染管理、ノンテクニカルスキルなどを学びます。
3.リハビリテーション医学:内臓リハビリテーション、嚥下評価などが含まれます。
4.臨床栄養学:消化吸収、栄養代謝から栄養指導、食事療法、中心静脈栄養など、多岐に及びます。
5.移植再生医療:臓器移植、再生医療、角膜移植、便移植なども学びます。

ユニット名称:[MM671-401J]医療安全(2024年度)

ユニット責任者藤田 茂
ユニット対象学年4 ユニット授業期間 ユニット時限数5 ユニット分類講義

ユニットについて

医療の質と安全の確保に対する社会の関心は高く、その管理方法は進化を続けている。医療者は、医療の質と安全を確保するための最新の知見について理解し、実践できる必要がある。
本ユニットは、医療の質と患者および医療者の安全を確保するための方法について理解することを目的とする。
医療安全管理における心理的安全性の重要性、医療安全管理への患者・家族の参加を促進する方法等についてディスカッションする。

授業形態は、原則対面形式とするが、一部で動画配信オンデマンド型と資料配布・配信型の混合形態とする場合がある。

本ユニットは、医学教育モデル・コア・カリキュラムの小項目A-5-1、A-6-1、A-6-2、A-6-3、B-1-8に該当する。

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

指定教科書の6章「医療の質と安全」を事前に通読すること(約30分)。

ユニットの評価について

本ユニットは、臨床医学7(サブ領域)の100点満点中の15点を占める。

定期試験(約4割がMCQ、約6割が記述)により評価する。
定期試験の後の一定期間(1ヶ月程度)は、学生の要望に応じて評価結果を開示し、試験内容について解説する。
再試験の試験問題や模範解答は開示しない。

指定教科書他

【教科書】
A. 長谷川友紀他編:医療職のための公衆衛生・社会医学 第8版、医学評論社、2022(公衛A-1)、ISBN 978-4863995147

【参考書】
B. 飯田修平編:医療安全管理者必携 医療安全管理テキスト 第4版、日本規格協会、2019、ISBN 978-4-542-30681-3

授業日程一覧(ユニット名称:医療安全) (2024年度)

コマ数形態授業タイトル
1 講義医療安全管理1
2 講義医療安全管理2
3 講義医薬品の安全管理
4 講義院内感染管理
5 講義医療機器の安全管理、医療の質管理
評価臨床医学7(10:00~12:00・2実)
評価臨床医学7(再)(10:00~12:00・多目1)