領域について
デカルトの時代から自然科学の手法はできるだけ細かく、必要な要素に分けて考える還元論が主流でした。とくに物理学は要素還元論により発展しましたが、計算できない複雑な現象への対応が問題となり、複雑系科学が20世紀に産声をあげました。医学とくに臨床医学は未だに臓器に分けて考える臓器還元論が主流です。もっとも複雑なシステムと考えられる生体の変化を考えるとき、還元論は思考材料が限られるため、参入しやすいものの、物理学と同様に限界があります。
臨床医学7は、M3までの系統講義で学んだ知識を背景として、生体各臓器が共有する免疫系、内分泌系、神経系、生化学的システムなどの理解を深めて、臨床推論力を高め、日常診療で遭遇する症候すべての対応を身につけ、特殊な治療以外はすべて完結できる能力を目指します。多細胞生物であるヒトは、細胞間の相互作用によって一定の機能をもった細胞集団により臓器が形成され、さらに各臓器が相互作用を行って生物としてのヒトが成立しています。臓器間のクロストークは内分泌系・神経系のネットワークが大きな役割を演じます。移植・再生医療においては各論的な有用性とともに、ネットワークを変更する意義を考えて見ます。ネットワークが破綻して機能を喪失したときに活躍するリハビリテーション医学だけではなく、もっとも重大な機能障害である低栄養についても学びます。一方、ノンテクニカルスキルの涵養も臨床医学7における大きな目標です。医療安全を通して、自分の行動を客観的に評価し、失敗から眼を逸らさず対応するための方法論を学びます。
以上の講義を通して、アルゴリズムやガイドラインでは対応できない診断困難例に対しても、決して投げ出さず、臨床推論を粘り強く展開し、問題解決するスキルと責任感のある医師の養成を目指します。各サブ領域の学修目標は以下の通りです。
1.総合医療系:①高齢者医療:高齢者健康増の目標を理解し、高齢者医療領域と関連医療制度を説明できる。
②地域・僻地医療: 高齢社会と健康問題の変化を理解し、僻地・離島での医療の現状から問題点を議論できる。
③総合・家庭医療:多様化する医療ニーズへの対応を学び、幸福度の高い医療について述べることができる。
④東洋医学:和漢薬、漢方薬の特徴や使用の現状について概説できる。
2.医療安全:医療安全だけではなく、感染管理、ノンテクニカルスキルなどを学びます。
3.リハビリテーション医学:内臓リハビリテーション、嚥下評価などが含まれます。
4.臨床栄養学:消化吸収、栄養代謝から栄養指導、食事療法、中心静脈栄養など、多岐に及びます。
5.移植再生医療:臓器移植、再生医療、角膜移植、便移植なども学びます。
領域の評価について
全てのサブ領域がGPA評価でグレードC以上の場合、臨床医学7は合格となります。
サブ領域について
ユニット構成:臨床医学7(総合医学)はサブ領域「臨床医学7」として、以下のユニットで構成されます。
1.総合医療系
2.医療安全
3.リハビリテーション医学
4.臨床栄養学
5.移植再生医療
学修目標:
1.総合医療系:高齢者医療、地域・僻地医療、総合・家庭医療、東洋医学を学びます。
2.医療安全:医療安全だけではなく、感染管理、ノンテクニカルスキルなどを学びます。
3.リハビリテーション医学:内臓リハビリテーション、嚥下評価などが含まれます。
4.臨床栄養学:消化吸収、栄養代謝から栄養指導、食事療法、中心静脈栄養など、多岐に及びます。
5.移植再生医療:臓器移植、再生医療、角膜移植、便移植なども学びます。
ユニット名称: リハビリテーション医学 (2021年度)
ユニット責任者 | 海老原 覚 |
ユニット対象学年 | 4 |
ユニット授業期間 | |
ユニット時限数 | 8 |
ユニット分類 | 講義 |
ユニットについて
リハビリテーション医学は、種々の疾病によって生じた様々な身体機能障害を有する対象者の診断・評価・治療を行ない、多職種により構成されるチーム医療を駆使して、機能改善ならびに代償機能の獲得を目指し、身体的・精神的により質の高い生活の獲得を支援する。本実習では、チーム医療の重要性を理解すると共に、患者さんやご家族への適切な対応法、医師間ならびにコメディカルとの連携を実践し、リハビリテーション医学の特性を学ぶ。
指定教科書の該当領域を1時間かけて前日までに予習しておく。
復習も同時間かけて指定教科書にて行う。
受講前に必要とされる知識及び技能・態度
高校卒業程度の知識
ユニットの評価について(フィードバック含む)
包括試験にて評価
理解できてれば合格
その場でフィードバックする。
指定教科書他
リハビリテーション医学・医療コアテキスト 医学書院
リハビリテーション栄養学に関する提供教科書は無い
参考書
新臨床栄養学 栄養ケアマネジメント 第3版 本田佳子編
総頁数:484頁、発行年月:2016年4月、ISBN978-4-263-70664-0
医歯薬出版株式会社 3,700円
静脈経腸栄養ガイドライン 第3版 日本静脈経腸栄養学会編
総頁数:427頁、発行年月:2013年5月、ISBN978-4-7965-2990-8
照林社 4,000円
日本臨床栄養代謝学会JSPENテキストブック 一般社団法人日本臨床栄養代謝学会編集
日本人の食事摂取基準 2015年版 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会報告書
総頁数:440頁、発行年月:2014年8月、ISBN978-4-8041-1312-8
第一出版 2,700円
エッセンシャル臨床栄養学(第8版)佐藤和人、本間 健、小松龍史編
総頁数:481頁、発行年月:2016年4月、ISBN978-4-263-70671-1
医歯薬出版株式会社 3,700円
Wahan K,Escott-Stump S, Raymond J :Krause's Food & the Nutrition Care Process, 13th edition (Krause's Food & Nutrition Therapy),2012, ELSEVIER
Wahan K,Escott-Stump S, Raymond J :クラウスの13版 栄養ケアプロセスを目指して 栄養学と食事療法大事典(日本語版)、2015年、ガイアブックス、東京