領域名称: 臨床実習(6年次) (2024年度)

領域責任者髙井 雄二郎

領域について

 卒後の初期臨床研修を円滑に実施できることを視野に入れながら、5年次までに習得した医師として必要な基礎的知識および技術をもとに、積極的に医療に参加し、医療チームの一員として求められる態度・価値観・習慣を身につけること、地域医療やプライマリケアに関わることで医療システムや法的制度に則り、医療を実践できることを目標としている。
 多様なニーズに対応できる医師を目指して、5年次に経験した「必修診療参加型実習」、「選択診療参加型実習」および「地域医療実習」の実習と統合型講義で学修した内容について、評価をもとに不足点を補い、長所をより伸ばすことで、さらにブラッシュアップさせる。
 該当する医学教育モデル・コア・カリキュラムの大項目:G 臨床実習
 サブ領域<臨床実習2(診療参加型臨床実習)>の学修目標:
 指導医や研修医、さらには看護師や薬剤師等の他の職種も含めた診療チームの中で、医学生が一定の役割・責任を担いながら円滑に卒後臨床研修を行うことのできる知識・技能・態度を身に付けること。

領域の評価について

 この領域に属するすべてのサブ領域が、GPA評価でGrade C以上で合格とする。

サブ領域名称: 臨床実習3 (2024年度)

サブ領域責任者髙井 雄二郎

サブ領域について

東邦大学医療センター3病院(大森・大橋・佐倉)および協力病院にて実習を行う。
また東邦大学医学部の基礎教室における実習を選択することも可能である。
臨床実習3(選択性診療参加型臨床実習)の学修目標:指導医や研修医、さらには看護師や薬剤師等の他の職種も含めた診療チームの中で、医学生が一定の役割・責任を担いながら円滑に卒後臨床研修を行うことのできる知識・技能・態度を身に付けること。
該当する医学教育モデル・コア・カリキュラム中項目:
G-1 診療の基本
G-2 臨床推論
G-3 基本的臨床手技
G-4 診療科臨床実習

ユニット名称:[]循環器内科(大森)(2024年度)

ユニット責任者池田 隆徳
ユニット対象学年6 ユニット授業期間 ユニット時限数0 ユニット分類実習

ユニットについて

臨床実習の対象は疾患でなく、疾患という身体的問題を有した患者であり、患者はまた心理的存在、社会的存在としての人間である。従って、ここでは全人的医療の実習が求められる。学生も医療チームの一員として、初診患者や入院患者を担当し、指導医監督の下にコミュニケーションの取り方、身体診察、診断、治療、さらには処置や介助について学ぶ。また、カンファレンスにおいて担当患者のプレゼンテーションを行い、より実践的な臨床技能についても修得する。
<学修目標>臨床実習の中でいかに経験していくのかの学修方略
循環器内科における6年生の診療参加型臨床実習では、下記の学修目標を定め実習を行う。
①主訴からの診断推論を組み立てに参加し、実践する。
②循環器疾患の基本的な病態や疫学を十分に理解する。
③内科的治療の立案・実施に参加し、実践する。
④複数の臓器にまたがる問題を統合する視点を獲得すし、実践する。
⑤内科的診察技能について十分に理解する。
⑥どのように内科にコンサルテーションすればよいかを理解し、実践する。
1. 循環器疾患の基本病態/疾患と学修方略(学修目標を達成するための実習内容)
1)高血圧
<学修方略>
①本態性高血圧症の疫学、診断、合併症、予後、治療を学ぶ。
②二次性高血圧症の病因(内分泌性、腎血管性、薬剤性)、症候、診断、治療を学ぶ。
③各種降圧薬の作用機序、適応、禁忌、副作用を学ぶ。
2)心不全
<学修方略>
①心不全の定義と原因、病態生理(収縮不全、拡張不全)を学ぶ。
②左心不全と右心不全の徴候、病態、診断、治療を学ぶ。
③急性心不全と慢性心不全の診断と薬物療法、簡易な非薬物療法、心臓リハビリテーションを学ぶ。
3)虚血性心疾患
<学修方略>
①安定労作性狭心症の病態、症候、診断、治療を学ぶ。
②冠攣縮性狭心症の病態、症候、診断、治療を学ぶ。
③急性冠症候群(不安定狭心症、ST上昇型心筋梗塞)の病態、症候、診断、治療を学ぶ。
④虚血性心疾患の薬物治療、簡易な非薬物療法、心臓リハビリテーションを学ぶ。
4)不整脈
<学修方略>
①主な不整脈(洞不全症候群、房室ブロック、心房細動、発作性上室頻拍、心室頻拍、心室細動)の原因、症候、心電図の特徴、治療を学ぶ。
②不整脈の原因となる疾患や病態(電解質異常、WPW症候群、QT 延長症候群、Brugada 症候群等)を学ぶ。
③不整脈の薬物療法、簡易な非薬物療法、電気的除細動を学ぶ。
5)弁膜症
<学修方略>
①大動脈弁疾患(大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症)の病因、病態生理、症候と診断を理解し、治療を学ぶ。
②僧帽弁疾患(僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症)の病因、病態生理、症候と診断を理解し、治療を学ぶ。
③三尖弁疾患(三尖弁閉鎖不全症)の病因、病態生理、症候と診断を理解し、治療を学ぶ。
6)心筋・心膜疾患
<学修方略>
①特発性心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症)と二次性心筋疾患の定義・概念と病態生理を学ぶ。
②急性心筋炎の病態、症候、診断、治療症候を学ぶ。
7)心膜心内膜疾患
<学修方略>
①急性心膜炎、収縮性心膜炎の病態、症候、診断、治療を学ぶ。
②感染性心内膜炎の病態、症候、診断、治療を学ぶ。
③心タンポナーデの病態、症候、診断、治療を学ぶ。
④主な心臓腫瘍(粘液腫など)の病態、症候、診断、治療を学ぶ。
8)先天性心疾患
<学修方略>
①主な非チアノーゼ性先天性心疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存)の病態生理、症候と診断を理解し、治療を学ぶ。
②主なチアノーゼ性先天性心疾患(Fallot 四徴症、大血管転位症)の病態生理、症候と診断を理解し、治療を学ぶ。
9)動脈疾患
<学修方略>
①動脈硬化の危険因子、病態、非侵襲的検査法を学ぶ。
②大動脈解離、大動脈瘤の病態、症候、診断、治療を学ぶ。
③閉塞性動脈硬化症とBuerger 病の病態、症候、診断、治療を学ぶ。
10)静脈・リンパ管疾患
<学修方略>
①深部静脈血栓症、血栓性静脈炎の病因、症候、合併症、治療を学ぶ。
②下肢静脈瘤を学ぶ。
③リンパ浮腫の病因を学ぶ。
2. 症候および身体所見
<学修方略>
①胸痛の原因となる疾患と病態について学ぶ。
②呼吸困難の原因となる疾患と病態について学ぶ。
③動悸の原因となる疾患と病態について学ぶ。
④失神の原因となる疾患と病態について学ぶ。
⑤浮腫の原因となる疾患と病態について学ぶ。
⑥頸静脈怒張の原因となる疾患と病態について学ぶ。
⑦チアノーゼの原因となる疾患と病態について学ぶ。
⑧ショックの原因となる疾患と病態について学ぶ。
3. 診断と検査の基本
<学修方略>
①心電図の主な所見を学ぶ。
②胸部単純エックス線の主な所見を学ぶ。
③心エコー図検査の主な所見を学ぶ。
④運動負荷心電図、ホルタ―心電図を学ぶ。
⑤心筋シンチグラフィ-を学ぶ。
⑥冠動脈造影、心臓CT、心臓MRIの主な所見を学ぶ。
⑦心カテーテル検査(心内圧、心機能、シャント率の測定)と結果の解釈を学ぶ。
4. 初期治療の基本
<学修方略>
①薬物治療について学ぶ。
②簡易な観血的治療法について学ぶ。
③心臓リハビリテーションについて学ぶ。

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

本科目を実習するにあたり、これまで履修した循環器領域における知識および技能を復習しておく必要がある。主要疾患については、診断から治療までの流れを説明できることが実習に臨むうえでの前提となる。
循環器(心血管)系の構造と機能について整理し、循環器診療の基本となる病因、病態、生理について復習する。
具体的には、下記について事前に学修しておくことが望まれる。
<学修目標>
①心臓の構造と分布する血管・神経、冠動脈の特長とその分布域を説明できる。
②心筋細胞の微細構造と機能を説明できる。
③心筋細胞の電気現象と心臓の興奮(刺激)伝導系を説明できる。
④興奮収縮連関を概説できる。
⑤体循環、肺循環と胎児・胎盤循環を説明できる。
⑥大動脈と主な分枝(頭頸部、上肢、胸部、腹部、下肢)を図示し、分布域を概説できる。
⑦主な静脈を図示し、門脈系と上・下大静脈系を説明できる。
⑧毛細血管における物質・水分交換を説明できる。
⑨胸管を経由するリンパの流れを概説できる。
⑩心周期にともなう血行動態を説明できる。
⑪心機能曲線と心拍出量の調節機序を説明できる。
⑫主な臓器(脳、心臓、肺、腎臓)の循環調節を概説できる。
⑬血圧調節の機序を説明できる。
⑭体位や運動に伴う循環反応とその機序を説明できる。

ユニットの評価について

実習の最終週に、指導医および教授から実習全体に関わる評価と試問で理解度についての形成評価を受ける。
7段階評価であり、4段階以上を実習終了とする。
実習期間中の出席日数は総括評価の対象となる。特にレポートなどの提出のの必要はない。遅刻なしに出席することが前提である。
<評価項目>
1)実習全体に関わる評価
①時間遵守に関する態度
②積極性・協調性に関する実習中の態度
③患者との関係構築に関する実習中の態度
④他者との関係構築に関する実習中の態度
⑤学修意欲に関する評価
2)診療科(循環器内科)領域に関わる評価
①循環器疾患の概略に関する理解
②循環器の症候に関する理解
③循環器の病態生理に関する理解
④循環器の検査法に関する理解
⑤循環器の基本的治療に関する理解

指定教科書他

<指定教科書>
・「内科学(第12版)-Ⅱ循環器系別冊」、矢﨑義雄編集、2022年発行、朝倉書店、ISBN:978-4-254-32280-4 C3047
<参考書>
・「新臨床内科学(第10版)」、矢﨑義雄監修、2020年発行、医学書院、ISBN:978-4-260-04806-5
・「今日の診断指針(2022年版)」、永井良三編集、2022年発行、医学書院、ISBN:978-4-260-03809-6
・「今日の治療指針(2023年版)」、福井次夫/高木誠/小一成編集、2032年発行、医学書院、ISBN:978-4-260-04777-7