領域について
疾病の病因・病態・治療を理解する上で礎となる人体の正常機能について、1年次の領域『生体の機能1』および2年次の領域『生体の機能2』で学ぶ。正常機能についての深い知見(基礎医学知識)を身に付けることは、臨床医学を履修するために必要であり、臨床医学を深く理解するための貴重な財産となるものである。さらに、生命の理の学びを通して科学的探究心を育み、自ら課題を見出し知識を収集し問題を解決する姿勢を身に付けることは、より良き臨床医として生涯に渡り学修と研鑽を積む態度の涵養に繋がる。
『生体の機能1』領域の学習目標は、人体の正常機能とそのしくみについて学ぶことである。人体を構成する基本的な生命単位は細胞であり、それらが集まって臓器を構成する。細胞の生存には、細胞外環境(内部環境)からの物質供給や老廃物の除去が必須であり、それらの物質を体外から摂取したり排出するしくみが必要である。
生体の機能1-1では、細胞の基本的な構成要素とそれらの機能について学び、細胞内外の物質交換機構と情報伝達機構を学び、神経・筋の生理学的基礎を理解する。
生体の機能1-2では、血液・リンパ系および呼吸・循環系の生理学を学ぶ。細胞外のイオン環境や浸透圧を維持する仕組みを学び、細胞の生存に必須の酸素を外界から取り込み、細胞へ供給し、細胞の活動により生じた老廃物を回収するしくみを理解する。さらに、外界からの侵入異物を排除する仕組みを理解する。
生体の機能1-3では、腎・尿路系、消化・吸収系、内分泌・生殖系の生理学を学ぶ。細胞の生存に必要な物質を外界から取り込み老廃物を排出し、各臓器の働きを調節することにより、細胞外の環境(内部環境)の恒常性を維持するしくみを理解する。
領域の評価について
領域『生体の機能1』を構成する全サブ領域のGPA評価がグレードC以上である場合、『生体の機能1』領域が合格と判定される。
ユニット名称: 腎・尿路 (2021年度)
ユニット責任者 | 赤羽 悟美 |
ユニット対象学年 | 1 |
ユニット授業期間 | 3期 |
ユニット時限数 | 9 |
ユニット分類 | 講義 |
ユニットについて
生体が正常な機能を営むには、細胞内外の体液の恒常性が維持されることが必要である。本ユニットでは、腎・泌尿器系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の基本構造と尿の排泄機能の仕組みを学ぶとともに、体液の組成や量が一定に維持されるシステムについて理解する。また、腎臓は血圧調節や造血系に関わる内分泌機能を有する重要な臓器であり、これらの機能についても学ぶ。
体液量、酸塩基バランス、および電解質バランスの異常は、腎・尿路系疾患のみならずさまざまな疾患で生じる。一方、腎・尿慮系の機能の異常は、体液量、酸塩基バランス、および電解質バランスの異常を来し、様々な疾患をもたらすことになる。よって、その生理学的基礎と病態生理学の理解は診断の第1段階であるとともに、適切な初期治療には速やかな補正が必須条件で、十分に理解しておくことが要求される。
1年Ⅲ期に、系統講義として9時限実施する。本ユニットでは、まず体液の恒常性について概観した後、尿の生成・調節機構について理解し、電解質バランス、酸・塩基平衡が保たれる個体の調節機構について、腎・泌尿器疾患のみならずさまざまな疾患での病態や代償機能にも触れながら、学習することの必然性を指摘する。
講義において、講義内容の理解を深める目的で問題提示や小テストを行うことがある。その場合、授業の中で解答について議論し解説を行う。
さらに、講義終了後にオンライン学修ツールを用いた復習テストを提供し自学自習を促す。
医学教育モデルコアカリキュラムの該当項目: D-8-1), D-8-3)
本ユニットに対応する実習は、1年次Ⅲ期に「生体の機能1実習」として実施する。
1年次Ⅲ期に「生体の機能1実習」として実施する。
【準備学修】
講義聴講前に各講義項目に該当する教科書の頁を読んでおくこと(約 30 分)。
具体的な教科書の該当箇所については、講義の前に事前配布資料やGoogle Classroom等で周知する。
受講前に必要とされる知識及び技能・態度
1. 1年次Ⅰ期およびⅡ期で学習した本科目を受講するにあたり、Ⅰ期で学修した生体の機能Ⅰ-①およびⅠ-②、生体物質の科学Ⅰ-①およびⅠ-②、生体の構造Ⅰ-①およびⅠ-②、応用理工学Ⅰ-①およびⅠ-②における十分な知識を習得しておくことが必要である。
2. 体液の恒常性維持のメカニズムと疾患の基礎となる人体の正常機能について、興味を持って学ぶ態度が求められる。
3. シラバスに基づく講義資料等の予習による疑問点抽出、講義への意欲的な参加、学習内容の復習などの能動的な学習態度が求められる。
ユニットの評価について(フィードバック含む)
ユニット単独での合否判定は行わず、サブ領域『生体の機能1-3』として判定する。
各ユニットの評価は、論述式・多肢選択式の筆記試験の点数に基づいてGPA評価で提示する。
1つのユニットの成績が60%以上であっても、サブ領域の評価がグレードD(60点未満)の場合はサブ領域の再試験を受験しなければならない。
また、40%未満のユニットがあった場合、サブ領域最終評価は不合格となり、再試験を受験しなければならない。
本試験及び再試験は、1年次Ⅲ期末に実施する。
再試験不合格者は、年度末の最終試験を受験できる。
本試験および再試験のいずれに対しても追試験は行わない。
【定期試験に対するフィードバック】
試験の評価を開示した後に『解答の手引き』を配布する。
評価の開示から3日後までのオフィスアワーに試験に関する質問に対応する(ただし時間が限られているため不合格者を優先する)。
指定教科書他
【推薦教科書】
下記の推薦教科書のうち、いずれか1冊を選び講義の予習・復習に活用すること。
1) ガイトン生理学 原著第13版 電子書籍(日本語・英語版)付き(エルゼビア・ジャパン)2018年 ISBN 9784860347741
2) 生理学テキスト 第8版(著)大地陸男(文光堂)2017年 ISBN 978-4-8306-0229-0
3) ギャノング生理学 原書25版(丸善)2017年 ISBN 978-4-621-30188-3
4) 標準生理学 第9版(医学書院)2019年 ISBN 978-4-260-03429-6
5) 人体の正常構造と機能 改訂第4版(日本医事新報社)2021年 ISBN 978-4-7849-3181-1