領域名称: 臨床医学7 (2023年度)

領域責任者瓜田 純久

領域について

 デカルトの時代から自然科学の手法はできるだけ細かく、必要な要素に分けて考える還元論が主流でした。とくに物理学は要素還元論により発展しましたが、計算できない複雑な現象への対応が問題となり、複雑系科学が20世紀に産声をあげました。医学とくに臨床医学は未だに臓器に分けて考える臓器還元論が主流です。もっとも複雑なシステムと考えられる生体の変化を考えるとき、還元論は思考材料が限られるため、参入しやすいものの、物理学と同様に限界があります。
 
 臨床医学7は、M3までの系統講義で学んだ知識を背景として、生体各臓器が共有する免疫系、内分泌系、神経系、生化学的システムなどの理解を深めて、臨床推論力を高め、日常診療で遭遇する症候すべての対応を身につけ、特殊な治療以外はすべて完結できる能力を目指します。多細胞生物であるヒトは、細胞間の相互作用によって一定の機能をもった細胞集団により臓器が形成され、さらに各臓器が相互作用を行って生物としてのヒトが成立しています。臓器間のクロストークは内分泌系・神経系のネットワークが大きな役割を演じます。移植・再生医療においては各論的な有用性とともに、ネットワークを変更する意義を考えて見ます。ネットワークが破綻して機能を喪失したときに活躍するリハビリテーション医学だけではなく、もっとも重大な機能障害である低栄養についても学びます。一方、ノンテクニカルスキルの涵養も臨床医学7における大きな目標です。医療安全を通して、自分の行動を客観的に評価し、失敗から眼を逸らさず対応するための方法論を学びます。
 以上の講義を通して、アルゴリズムやガイドラインでは対応できない診断困難例に対しても、決して投げ出さず、臨床推論を粘り強く展開し、問題解決するスキルと責任感のある医師の養成を目指します。各サブ領域の学修目標は以下の通りです。
 
 1.総合医療系:①高齢者医療:高齢者健康増の目標を理解し、高齢者医療領域と関連医療制度を説明できる。
        ②地域・僻地医療: 高齢社会と健康問題の変化を理解し、僻地・離島での医療の現状から問題点を議論できる。
        ③総合・家庭医療:多様化する医療ニーズへの対応を学び、幸福度の高い医療について述べることができる。
        ④東洋医学:和漢薬、漢方薬の特徴や使用の現状について概説できる。
 2.医療安全:医療安全だけではなく、感染管理、ノンテクニカルスキルなどを学びます。
 3.リハビリテーション医学:内臓リハビリテーション、嚥下評価などが含まれます。
 4.臨床栄養学:消化吸収、栄養代謝から栄養指導、食事療法、中心静脈栄養など、多岐に及びます。
 5.移植再生医療:臓器移植、再生医療、角膜移植、便移植なども学びます。
 

領域の評価について

 全てのサブ領域がGPA評価でグレードC以上の場合、臨床医学7は合格となります。

サブ領域名称: 臨床医学7 (2023年度)

サブ領域責任者瓜田 純久

サブ領域について

ユニット構成:臨床医学7(総合医学)はサブ領域「臨床医学7」として、以下のユニットで構成されます。
1.総合医療系
2.医療安全
3.リハビリテーション医学
4.臨床栄養学
5.移植再生医療

学修目標:

1.総合医療系:高齢者医療、地域・僻地医療、総合・家庭医療、東洋医学を学びます。
2.医療安全:医療安全だけではなく、感染管理、ノンテクニカルスキルなどを学びます。
3.リハビリテーション医学:内臓リハビリテーション、嚥下評価などが含まれます。
4.臨床栄養学:消化吸収、栄養代謝から栄養指導、食事療法、中心静脈栄養など、多岐に及びます。
5.移植再生医療:臓器移植、再生医療、角膜移植、便移植なども学びます。

サブ領域の評価について(方法、基準、配分、フィードバック)

サブ領域の評価判定は100点満点の評価で行い、グレードC以上(60点以上)を合格とする。サブ領域の最終GP評価は、各ユニットの評価を勘案した総合判定とする。グレードD判定(6割未満)のユニット評価が1つあっても、サブ領域のGP評価がグレードCの場合には、サブ領域の最終評価は合格と判定する。ただし、ユニットにFがある場合は、60点以上であっても不合格となる。受験資格は、サブ領域の全講義回数の2/3以上の出席とする。不合格者は、ユニット単位ではなくサブ領域単位で本試験・再試験等を受験する。

試験は、記述式2/3以上、多肢選択式を1/3以下の配点とし、ユニット間の配点は総合医療系40点、医療安全15点、リハビリテーション医学15点、臨床栄養学15点、移植再生医療15点とします。各ユニットでは筆記試験、講義内小テストなどで総合的に評価し、60%未満の場合、そのユニットは不合格となります。総合点が60点以上でも、2ユニット以上が60%未満の場合、臨床医学7は不合格となります。また、1ユニットでも40%未満の場合、不合格になります。
 ユニット毎の評価法は、それぞれのユニットのシラバスをご参照ください。