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コース名称: 医学教養 (2022年度)

科目名称: 医学教養Ⅲ (2022年度)

科目責任者増本 健一
科目対象学年1~3 科目授業期間秋学期 科目時限数15 科目分類講義

科目について

「続 赤ちゃんを巡るこころとからだ」
本選択授業は,赤ちゃんを巡るこころとからだの問題について総合的に、各診療科・職種の垣根を越えて現在の課題を抽出し、問題点を検討できる能力を身に着けることを目的とする(A-1-1、A-1-2、A1-3)。
我が国の周産期医療は世界でもトップレベルにあり、近年は不妊や生殖医療、出生前診断、胎児治療、早産児や障害を持って誕生した児のその後のフォローアップの問題が注目を集めている。こうした最前線の医療状況について産婦人科、新生児科、小児科、心療内科各科の医師、さらには臨床心理士。遺伝カウンセラーより提示してもらい、胎児・乳幼児の健康な発達および病気や障害、それを支える家族に生じる様々な問題や医療者との相互作用を取り上げる(A-2-1、A-2-2、D-10-3)。
授業では、まず提示される周産期領域の臨床場面について、状況設定、胎児・乳幼児の疾病,関係している登場人物について確認し、その上で各人の立場や意向、医学的判断の選択肢等について多面的に探索する。この作業を通して,胎児・乳幼児の疾病が家族にもたらす様々な課題,医師と児・家族との相互作用、社会的な問題点等ついて検討する(A-5-1、A-7-1、E-7-1)。
準備学習として、指定教科書「新生児学入門」の総論部分に目を通し、疑問点などを事前に把握してから講義に臨む(目安時間:約1時間)。

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

演習内容は、医学的知識がなくても参加可能であるが、周産期医療の実態について日ごろから新聞、書籍などで関心を深めておくことが望ましい。「周産期医療」をキーワードに話題性のある報道や取り組みについて検索し、2-3のテーマを自ら問題提起しておく。医学知識としては可能なら、生殖医学や妊娠分娩、新生児学、臨床遺伝学、臨床心理学などの分野に触れておく。
 1)GIO:
現在周産期領域の医療で起きている特殊な意思決定、特に児と家族、また、両者と医療者との立場が異なることから生じる治療判断の難しさなど、「赤ちゃんを巡るこころとからだ」の問題について、産婦人科、新生児科、小児科の領域の垣根を越えて総合的に理解するとともに、以上の問題に自ら考え対応できる思考力を身につけることを目指す。
 2)SBOs:
A.授業のトピックスに対して,自分なりに疑問や意見を述べ,質疑・ディスカッションができる。
B.胎児・新生児・乳幼児の健康的発達・疾病と共に,家族・医師が体験する意思決定状況や葛藤状況等の心理・社会的背景について討議する。
C. ヒトの発生から誕生,その後の発達に渡って総合的に赤ちゃんのこころとからだについて検討し、その意義を述べることができる。
D. 明解な答えが出にくい問題に対して,探索的態度を持ち続けることができる。

科目の評価について

授業内評価を100%としてユニットの評価を行う。テストは行わない。質疑応答およびグループ・ディスカッションへの参加状況を総合的に評価する。時間内に振り返りを行う。
A.グループディスカッションにおいて自分の考えを述べられたか?また、他者の意見に対し質疑できたか?
B.新生児・乳幼児の心身の健康や疾患についてまず医療者として討議できたか?次に、保護者である父母や家族の側に立って考えることができたか?社会的な意義を考えることができたか?
C. ヒトの発生からその後の成長を通して、医学的興味や社会的興味を持つことができたか?
D. 答えのない事象について、今後どのようにして解決すれば良いか?考えを述べることができたか?
以上すべてGPA評価でグレードC以上で合格とする。

指定教科書他

以下は参考図書である
「出生前診断」河合蘭 朝日新聞出版、2015年、ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4022736123
「赤ちゃんの心と出会う」仁志田博司 小学館、2014年、ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4093114141
「赤ちゃん誕生の科学」正高信夫 PHP新書、1997年、ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4569555133
「新生児学入門」仁志田博司 医学書院、2018年、ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4260036252
「新生児学テキスト」日本新生児生育医学会編 メディカ出版、2018年、ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4840468473
「子どもへのまなざし」佐々木正美 福音館書店、1998年、ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4834014730