科目名称:[MM612-101J]医学教養Ⅳ(2023年度)

科目責任者石井 良和
科目対象学年1~3 科目授業期間春学期 科目時限数15 科目分類講義

科目について

質の良い医療を提供するためには、標準的な医療を的確に行うことが重要ですが、もう一つ重要なのは常により良い医療を追求する姿勢です。既存の検査法・治療法のみに頼った医療では、これまで治療の難しかった疾患を治すことは困難ですし、将来的に新しい治療が生まれることもありません。
 トランスレーショナルリサーチとは基礎研究から臨床現場への「橋渡し研究」を意味しますが、2つの大切なポイントがあります。一つめは臨床現場で実際に問題となっている事柄をいかに基礎研究に落とし込めるか。二つめは革新的な基礎研究の成果をいかにして次世代の新しい診断や治療法の開発につなげられるか。より良い医療を追求するためには、医療人としてこの2つの視点を持つことは重要なことであり、医学生としてその考え方を学んでおくことは大切なことです。
本講義では、感染症と微生物をテーマに、実際に経験された事例を元にトランスレーショナルリサーチを体感し、自身が考える「より良い医師像」の形成に役立てて欲しいと思います。

<準備学習>
各講義では現在感染症研究領域において話題となっているテーマを扱う。教科書には掲載されていない情報が多くあるが、事前学習としてメディア・インターネットを通じて、それぞれの講義のテーマについて30分ほど自分なりに調べてみること。講義では、事前学習で疑問に思った点なども含めて検討する。
(約 30 分)

<講義形態>
講義形式で行い、学生は講義毎のテーマに沿って主体的に学習を進める。各講義毎にICT(Information and Communication Technology)を用いた形成的評価を行い、双方向性に学習の達成度を確認しながら進める。形成的評価で行う小テスト結果は解答直後に解説と共にフィードバックする。

<該当する医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28 年度改訂版)>
・A-8 科学的探究(A-8-1)
・A-9 生涯にわたって共に学ぶ姿勢(A-9-1)
・E-2 感染症(E-2-1, -2, -3, -4)

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

 特別必要な知識はありませんが、事前学習としてメディア・インターネットを通じて、それぞれの講義のテーマについて30分ほど自分なりに調べてきてください。一般社会で遭遇することも多い感染症をテーマとして、臨床現場ではどのような問題があり、どのように解決していくのか。また、基礎領域側からも最近話題となっているtopicsを取り上げ、どのように医療現場に落とし込んでいくか、一緒に考えていきます。より良い医療とは何かを考えることができる学生に参加して欲しいと思います。

科目の評価について

科目の評価は、態度4割、レポート6割の合計点とし、GPA評価でグレードC以上で、この領域が合格となる。授業態度は質疑応答への積極参加などにより評価します。なお、レポートは講義で学んだ内容から作成し、評価する。
レポートの評価点数は採点後にフィードバックする。

指定教科書他

Qシリーズ 新微生物学 第二版 舘田一博/松本哲哉/岩田敏/槇村浩一/赤尾信明編、日本医事新報社、2021年 978-4-7849-1194-3

授業日程一覧(ユニット名称:医学教養Ⅳ) (2023年度)

コマ数形態授業タイトル
1 講義バイオフィルム感染症 -難治性感染症の発症メカニズム
2 講義レジオネラ肺炎の発症病態と新しい治療戦略
3 講義環境に適応する病原体
4 講義重症感染症経験事例からの研究テーマ検索
5 講義次世代シークエンサーの微生物検査への応用
6 講義次世代シークエンサーを用いた薬剤耐性菌研究
7 講義新興・再興感染症
8 講義難治性感染症に対するトランスレーショナルリサーチ
9 講義ベッドサイドから研究、研究から臨床へ
10 講義薬剤耐性菌・難治療性感染症に対する新たな治療戦略
11 講義臨床微生物検査の実際と臨床分離細菌の疫学
12 講義HIV・性感染症診療の留意点
13 講義プラスミドとバクテリオファージ解析から見えること
14 講義微生物検査おける国際標準化の重要性
15 講義医学教養VI(感染症領域におけるトランスレーショナルリサーチTopics) レポート作成および評価