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コース名称: 医学教養 (2022年度)

科目名称: 医学教養Ⅵ (2022年度)

科目責任者瓜田 純久
科目対象学年1~3 科目授業期間春学期 科目時限数15 科目分類講義

科目について

大学入試において、理科系に分類される医学部ですが、入学後に数学や物理化学の補講が必要な学生が少なくありません。補講でサポートしても、モチベーションを上げることができる医学生は限られており、何らかの対策が必要です。まもなく解剖実習も始まり、医学生は学ぶことが膨大となり、思考回路を作動させるまえに、暗記に徹しなければならない状況に陥ることがしばしばです。臨床科目の履修が始まると、入試科目の数学、物理、化学、生物で学んだ知識と臨床医学とのギャップから、自然科学への興味は萎えてしまうことになりかねません。今回、臨床医学と自然科学との接点を再認識することにより、複雑系であるヒトの病態を解明するため、柔軟な思考回路の涵養を目的として、選択講義を企画します。臨床医学のツールとして、教養科目で学んだ物理、化学、生物の延長である複雑系科学が意外に役立つことを、学生のみなさんと振り返ってみたいと思います。

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

高校で学習した数学と物理、とくに高校2年までの知識があれば、効率よく学習できると思います。臨床では八方塞がりになることがしばしばありますが、9本目の道を探す思考回路が必要です。ガイドライン、アルゴリズムから解き放たれた大学らしい自由な感性をもって講義に臨んでいただくと嬉しく思います。この講義は数学物理愛好家集団「湧源クラブ」での講義とほぼ同一ですが、湧源クラブの大多数を占める東京大学数学科の学生さんと異なり、本講義では医学用語を使って講義させていただきます。

科目の評価について

 「臨床医学に役立つ複雑系科学入門」では1年生から3年生を対象として、各学年によって以下のように目的を設定します。

M1:高校や予備校で学修した知識をリマインドし、解剖や生理・生化学を学習するモチベーションを高める。
M2:解剖学で学んだ形態の合理性を理解し、機能を学ぶ基礎医学への理解を深め、臨床科目への興味を高める。
M3:平行して履修する内科学などの臨床科目での知識を繋ぐ思考回路の涵養を目指し、暗記・過去問に頼る学習からの脱却を図る。
2020年は遠隔講義のため、レポートや試験は実施しません。今後の皆さんの学修が、より豊かになることを期待しています。

指定教科書他

関連する書籍です。興味がある方は是非手にしてみてください。

1.生命とは何か 金子邦彦 東京大学出版会
2.非線形科学 蔵本由紀 集英社新書
3.フラクタル、カオス、パワー則 マンフレッド・シュレーダー 森北出版
4.進化のダイナミクス マーチン・ノワック 共立出版
5.群論の味わい デビッド・ジョイナー 共立出版
6.新ネットワーク思考 アルバート・バラバシ NHK出版
7.セルオートマトン ジョエル・シッフ 共立出版