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領域名称: 生体物質の科学 (2022年度)

サブ領域名称: 生体物質の科学① (2022年度)

ユニット名称: 遺伝生化学Ⅰ (2022年度)

ユニット責任者平 敬宏
ユニット対象学年1 ユニット授業期間1期 ユニット時限数8 ユニット分類講義

ユニットについて

医学を理解する上で必要な基本的概念である遺伝学の基礎を学ぶとともに、その物質的基盤であるゲノム・遺伝子・染色体・核酸の構造を理解する。さらにDNAに収められた遺伝情報がRNAを経てタンパク質として発現する機構と、遺伝情報を正確に維持するためのDNA修復機構を学ぶ。さらに分子系統樹の作成を通して分子進化の基本的な概念を理解する。これらの知識は臨床において、遺伝子・染色体異常と発生発達異常や疾患の発生との関連を理解するために必要である。さらに新型コロナウイルスSARS-CoV-2の世界的流行を受けて、遺伝学の理解がこれまでにないほど重要視されている。本授業ではPCR検査の原理、核酸アナログ医薬やmRNAワクチンの作用機序、ウイルスの変異とワクチンとの関係、新型コロナウイルスゲノムデータベースNextstrainなどを取り上げ、生物未履修の学生でも遺伝学を正しく理解できるよう授業を進める。

該当する医学教育モデル・コア・カリキュラム小項目
C-1-1)-(2)
①Mendelの法則、ミトコンドリア遺伝、インプリンティング及び多因子遺伝を説明できる。
②遺伝型と表現型の関係を説明できる。
③染色体の構造を概説し、ゲノムと染色体及び遺伝子の構造と関係性、体細胞分裂及び減数分裂における染色体の挙動を説明できる。
④デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid(DNA))の複製と修復を概説できる。
⑤デオキシリボ核酸(DNA)からリボ核酸(ribonucleic acid(RNA))への転写、タンパク質合成に至る翻訳を含む遺伝情報の発現及び調節(セントラルドグマ)を説明できる。
C-1-2)-(1)
③アミノ酸配列や塩基配列の比較による分子系統樹を概説できる。
C-4-1)
②単一遺伝子疾患の遺伝様式を説明し、代表的な疾患を列挙できる。
③染色体異常による疾患の中で主なものを挙げ、概説できる。
④ミトコンドリア遺伝子の変異による疾患を挙げ、概説できる。
⑥多因子疾患における遺伝要因と環境要因の関係を概説できる。
E-1-1)
①集団遺伝学の基礎としてHardy-Weinbergの法則を概説できる。
②家系図を作成、評価(Bayesの定理、リスク評価)できる。


準備学修に関して
準備学修の内容は、各授業の詳細に記載されているので参照すること(毎回約30分程度)。土屋担当の内容については、毎回講義終了後にGoogleフォームを用いた復習テストを行う予定である。また授業の一部でグループワークを行う予定である。平担当の内容については、講義開始前にGoogleフォームを用いた形成評価を行う予定である。これらの結果についてはテスト直後または授業時間内にフィードバックを行うが、ユニットの評価には加えない。

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

高校レベルまでの生物学および化学に関する基本的な知識と、論理的な説明能力を必要とする。

ユニットの評価について(フィードバック含む)

本ユニットの評価は、Ⅰ学期末の試験帯に行われるサブ領域「生体物質の科学①」の試験として行う。本ユニットの得点配分は30点であり、論述式(概ね75%)、多肢選択式(概ね25%)の筆記試験を行い、原則としてGPA評価のグレードC以上を合格基準とする。ただし、サブ領域として不合格の場合は、本ユニットも再試験となる。評価の詳細は、「教育の評価」を参照すること。

定期試験に対するフィードバック
試験終了後に、生物学教授室前に模範解答・成績分布・講評を掲示する。また希望する学生には答案の開示を行い、個別の質問を受け付ける。

指定教科書他

教科書
遺伝医学への招待(改訂第6版)新川詔夫 他、南江堂、2020
ISBN978-4524249312
要点が簡潔にまとまっており、遺伝医学の全容を大まかに理解するのに向いている。

Essential細胞生物学(原書第5版)中村桂子・松原謙一、榊佳之、水島昇 翻訳 南江堂、2021
ISBN978-4524226825
世界的に有名な教科書の日本語訳であり、分子生物学・細胞生物学の基本的事項を網羅している。

参考資料についても、教育ポータルおよびMoodleを活用して積極的に紹介する予定である。