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領域名称: 臨床医学2 (2022年度)

サブ領域名称: 臨床医学2-② (2022年度)

ユニット名称: 血液病学 (2022年度)

ユニット責任者瓜田 純久
ユニット対象学年3 ユニット授業期間 ユニット時限数13 ユニット分類講義

ユニットについて

生体内に存在する全ての血液細胞は造血幹細胞(hematopoietic stem cell)に由来している。造血幹細胞は自己複製能と多分化能という2つの機能を有し、個体が存在する間、すべての系統の血液細胞を提供し続ける。“全ての系統の血液細胞“とは赤血球、白血球、血小板の有形成分をさし、主たる産生の場は骨髄である。骨髄は構造として固い骨質、これは緻密質と海綿質からなり、その中に間質がある。間質は細胞成分が主であり成人では約1600~3700gの重量があり生体内では最大の臓器である。
造血因子は40以上知られており、その中にはinterleukinやinterferon、コロニー刺激因子、幹細胞増殖因子、エリスロポイエチン、トロンボポイエチンなどがある。この中でも顆粒球系細胞の発生には顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、赤芽球系細胞ではエリスロポイエチン、巨核球系ではトロンボポイエチンが最も重要な造血因子である。
臨床血液学は大きく、赤血球系疾患、白血球系疾患、巨核球系疾患の3分野に分かれていたが、その流れが20世紀末から21世紀にかけて腫瘍性、非腫瘍性に大きく2大別されてきている。造血器疾患の主座は骨髄であり、分化・成熟の段階でサイトカイン異常、造血に必要とされる様々な因子の欠如あるいは過多、染色体異常などが影響し疾患を形成する。これらの実像は21世紀には次々と明らかになりそのメカニズムから新薬が開発され予後が改善されている。基礎医学研究とベッドサイドが非常に近い位置にある血液学の理解をめざし、代表的な疾患・症候群を学習する。

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

本科目を受講するにあたり血液学の基礎知識を持って臨む。
1.赤血球・白血球・血小板の形態をイメージできる造血組織と機能を説明できる。(標準血液学p2-5)
2.赤血球・白血球・血小板の生体内の寿命を言える。そして貧血の種類、成因を知っている(標準血液学p18-64,一度目を通しておく)。
3.リンパ組織(標準血液学p169悪性リンパ腫総論1.概念・定義)とリンパ節を定義できる。リンパ節の解剖的位置を把握できている(標準血液学p174図4-39解剖学的リンパ節領域)。
4.有名な血液疾患の疫学を事前に調べ知識として備えておく(標準血液学各疾患の疫学を参照急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、再生不良性貧血など)。
5.造血因子のなかで主要なものを列挙できる(標準血液学p11-15)。
6.急性白血病・慢性白血病を列挙できる(標準血液学p133,151,156定義・疫学を参照)。
7.凝固因子を知り、産生部位を知っている(標準血液学p216-219)。
8.典型的な播種性血管内凝固症候群が呈する検査データを知っている(標準血液学p245)。
9.血小板異常による疾患を知っている(標準血液学p228-238 疾患名だけでも一度見ておく。)

ユニットの評価について(フィードバック含む)

出席に関しては大学規定に従う。授業出席日数に関しては補講・レポート提出による補填は行わない。
Ⅲ期末に実施される試験において、臨床医学2-②(血液学、腫瘍学、膠原病・アレルギー病学、代謝内分泌学)
サブ領域全体のうち血液学は22%を配分されている。試験方法はMCQ形式と筆記形式とする。
定期試験で基準を満たさなかった場合、2月に再試験を行い最終合格判定とする。試験方法はMCQ形式と筆記形式としする。

指定教科書他

基本的な知識を求める総合書としては以下が推奨される。
内科学 杉本恒明、小俣政男総編集 朝倉書店
内科学書、島田碧 中山書店

第一指定図書 標準血液病学 医学書院
第二指定図書 iMedicine 5 血液 リブロサイエンス
第三指定図書 新病態生理できった内科学 5 血液疾患 医学教育出版社