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領域名称: 臨床医学2 (2022年度)

サブ領域名称: 臨床医学2-② (2022年度)

ユニット名称: 膠原病・アレルギー病学 (2022年度)

ユニット責任者南木 敏宏
ユニット対象学年3 ユニット授業期間 ユニット時限数15 ユニット分類講義

ユニットについて

 膠原病・アレルギー疾患は免疫異常を背景として発症する炎症性疾患群であり、さまざまな臓器障害・身体障害により患者の生活の質(QOL)に多大な影響を及ぼすことが特徴である。従来からの臓器別の疾患概念を縦軸とすると、横軸で理解する疾患概念ということができるため、膠原病・アレルギー疾患を学ぶことはきわめて重要である。
 膠原病の多くは自己免疫疾患であり、「自己との反応とその制御」という免疫学のもっとも根元的な問題にかかわる疾患群である。すなわち、本来反応しないはずの自己抗原と反応することから引き起こされるもので、一般に難病と呼ばれる罹患患者数が少ない疾患を多く含む。これらの殆どは未だ病因は不明だが、その病態形成機序の詳細が明らかになりつつあり、それらを標的とした新たな治療法の導入が目覚ましい領域である。一方、アレルギー性疾患は、自己を防御するための免疫反応が特定の外来抗原に対して過剰に反応するために引き起こされる疾患群である。本科目では、代表的膠原病・アレルギー疾患の病態生理、症候、診断、治療および予後について学習する。
 基礎医学で学んだ免疫学の復習をしておくことが必要である。また、講義の前に、指定教科書の該当する疾患の予習をし、疑問点などを事前に把握してから講義に臨むこと。
予習、復習は、各々約1時間程度を要する。

医学教育モデル・コア・カリキュラムの、E-4-3)

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

本科目を受講するにあたり、基礎医学で学んだ以下のような免疫系の機構や免疫反応などについて、十分な基礎知識を習得しておくことが前提となる。すなわち、

1)生体防御機構における免疫系の特徴(特異性、多様性、寛容、記憶)を説明できる。
2)免疫反応に関わる組織と細胞を説明できる。
3)免疫学的自己の確立と破綻を説明できる。
4)自然免疫と獲得免疫の違いを説明できる。
5)MHCクラスIとクラスIIの基本構造、抗原提示経路の違いを説明できる。
6)免疫グロブリンとT細胞抗原レセプターの構造と反応様式を説明できる。
7)免疫グロブリンとT細胞抗原レセプター遺伝子の構造と遺伝子再構成に基づき、多様性獲得の機構を説明できる。
8)抗原レセプターからのシグナルを増強あるいは減弱する調節機構を概説できる。
9)代表的なサイトカイン・ケモカインの特徴を説明できる。
10)Th1/Th2細胞それぞれが担当する生体防御反応を説明できる。
11)自己と非自己の識別機構の確立と免疫学的寛容を概説できる。
12)先天性免疫不全症候群と後天性免疫不全症候群を概説できる。
13)免疫寛容の維持機構とその破綻による自己免疫疾患の発症を概説できる。
14)アレルギー発症の機序を概説できる。

以上を満たしている必要がある。

ユニットの評価について(フィードバック含む)

サブ領域まとめて本試験を行う。
膠原病の配点は26%。
試験のフィードバックは行わない。

指定教科書他

下記、内科教科書で、各疾患の概要を学習する。
1) 「内科学」第11版、矢崎義雄 総編集 2017年改訂、朝倉書店 ISBN978-4-254-32271-2
2) カラー版 「内科学」、2012年(初版)、西村書店 ISBN:978-4-89013-423-6
3) 「ハリソン内科学」(日本語版第5版)、福井次矢・黒川 清 日本語版監修、 2017年、メディカル・サイエンス・インターナショナル ISBN-10: 489592873X ISBN-13: 9784895928731

下記は、膠原病の専門書であり、さらに詳細を学習する際に用いる。
4) 「リウマチ病学テキスト」(改訂第2版)、日本リウマチ学会・日本リウマチ財団編、2016年、診断と治療社 ISBN番号:ISBN978-4-7878-2126-3
5)「関節リウマチ診療ガイドライン2014」、日本リウマチ学会編集、2014年、メディカルレビュー社 ISBN 978-4-7792-1347-2