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領域名称: 臨床医学2 (2022年度)

サブ領域名称: 臨床医学2-② (2022年度)

ユニット名称: 代謝・内分泌系 (2022年度)

ユニット責任者弘世 貴久
ユニット対象学年3 ユニット授業期間 ユニット時限数18 ユニット分類講義

ユニットについて

組織や細胞が情報を伝達する方法には神経系、内分泌系、免疫系の3 つに分けられ、古典的概念としての内分泌器官は化学伝達物質であるホルモンを血中に放出し遠隔臓器でその作用を発現する。しかし中枢神経系では神経と内分泌が共同して一つの機能ユニットを形成し、また免疫系は神経・内分泌をコントロールする機能を有しており、現在では三者を明確に分けることはできない。生体はこれらの相互作用により機能を維持し恒常性を保っている。現在ホルモン作用には(1)生殖、(2)成長と発達、(3)内部環境の維持、(4)エネルギーの産生・利用・貯蔵の4 つがあり、生体内で重要な役割を担っている。
外部からの物質摂取による体成分の合成やエネルギー獲得を営む過程を栄養(nutrition)といい、体内におけるさまざまの成分の合成(同化反応anabolism)やエネルギー産生のための物質の分解(異化反応catabolism)の過程を代謝(metabolism)とよぶ。それぞれの代謝は調整され、統一を保った一種の定常状態として営まれている。代謝異常を量的な面に重点を置くとエネルギー代謝の異常であり、質的な面に重点を置くと糖質、脂質、蛋白質やアミノ酸、核酸、ビタミン、無機物質などの代謝異常が挙げられる。生体におけるエネルギー代謝に関して糖質代謝は脂質代謝と相補的な関係にあり、両者の異常すなわち糖尿病および高脂血症は臨床代謝学のなかでとりわけ重要な位置を占めている。

準備学修は基礎科目で習得した当該領域について復習しておくこと(目安時間:約30分)。詳細は「受講前に必要とされる知識及び技能・態度」および各講義の項目を参照のこと。

本ユニットは医学教育コアカリキュラムのD-12 内分泌・栄養・代謝系に相当する。

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

本科目を受講するに当たり内分泌・代謝系の構造と機能について十分な知識を習得しておくことが前提である。すなわち、
1.ホルモンを構造から分類し作用機序を説明できる。
2.ホルモン分泌の調節機構を概説できる。
3.各内分泌器官の位置を図示し、そこから分泌されるホルモンを列挙できる。
4.視床下部ホルモン・下垂体ホルモンの名称、作用と相互関係を説明できる。
5.甲状腺と副甲状腺から分泌されるホルモンの作用と分泌調節機構を説明できる。
6.副腎の構造と分泌されるホルモンの作用と分泌調節機構を説明できる。
7.膵島から分泌されるホルモンの作用を説明できる。
8.男性ホルモン・女性ホルモンの合成・代謝経路と作用を説明できる。
9.ホルモンの日内変動の例を挙げて説明できる。
これらを満たしている必要がある

ユニットの評価について(フィードバック含む)

ユニットとしての合否判定は行わない。下記の要領でサブ領域にて行う。
Ⅲ期末に実施される試験において、臨床医学2-②(血液学、腫瘍学、膠原病・アレルギー病学、代謝内分泌学)

ユニットの出題形式は選択問題3割程度、記述問題7割程度とする。

「臨床医学2ー②」のサブ領域試験の試験形式は、論述式・多肢選択式の筆記試験で行い、各ユニットの配点比率を血液学22%、腫瘍学21%、膠原病・アレルギー病26%、代謝内分泌学31%とし合計100点満点とする。

原則フィードバックは行わない

指定教科書他

基本的な知識を求める内科の総合書として以下が推薦される
1) 「内科学」、杉本恒明、小俣政男総編集、朝倉書店 ISBN-10 4254322704
2) 「内科学書」、島田馨、中山書店 ISBN 978-4521747491
更に深い知識を習得するための専門書は以下
3) 「Williams textbook of Endcorinology」,edited by Jean D Wilson et al ISBN-978 0323297387
4) 「Joslin's Diabetes Mellitus」,edited by C Ronald Kahn et al ISBN-978 0781727969
5) 「ジョスリン糖尿病学」、金沢康徳他監訳、医学書院 ISBN-978 4895924641
知識の整理として使う書
6) 「病気がみえる vol3 糖尿病・代謝・内分泌」、弘世貴久、河盛隆造ほか編集、メディックメディア ISBN-978 4896327663