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領域名称: 生体物質の科学 (2022年度)

サブ領域名称: 生体物質の科学③ (2022年度)

ユニット名称: 遺伝生化学Ⅱ (2022年度)

ユニット責任者山﨑 創
ユニット対象学年1 ユニット授業期間3期 ユニット時限数6 ユニット分類講義

ユニットについて

本ユニットでは、「遺伝生化学I」での学修内容を発展させ、遺伝子の変異によってがんなどの疾患の発症につながる機構を学ぶ。正常細胞における遺伝子発現、細胞周期、シグナル伝達の調節機構を学修し、その機構の破綻によって病態が形成される機構を学ぶ。また、ゲノムの個体差により疾患感受性や薬剤の有効性・安全性が異なることを理解するほか、PCR法や核酸の塩基配列の決定法などの遺伝子解析技術を学ぶ。

対応する「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の項目は次の通りである。
C-1-1)-(2) ゲノム・染色体・遺伝子
③染色体の構造を概説し、ゲノムと染色体及び遺伝子の構造と関係性、体細胞分裂及び減数分裂における染色体の挙動を説明できる。
⑤デオキシリボ核酸<DNA>からリボ核酸<RNA>への転写、タンパク質合成に至る翻訳を含む遺伝情報の発現及び調節(セントラルドグマ)を説明できる。
⑥染色体分析・DNA塩基配列決定を含むゲノム解析技術を概説できる。
C-2-3)-(1)情報伝達の基本
①情報伝達の種類と機能を説明できる。
②受容体による情報伝達の機序を説明できる。
③細胞内シグナル伝達過程を説明できる。
C-4-1) 遺伝的多様性と疾患
①ゲノムの多様性に基づく個体の多様性を説明できる。
②単一遺伝子疾患の遺伝様式を説明し、代表的な疾患を列挙できる。
③染色体異常による疾患の中で主なものを挙げ、概説できる。
④ミトコンドリア遺伝子の変異による疾患を挙げ、概説できる。
⑤エピゲノムの機序及び関連する疾患を概説できる。
⑥多因子疾患における遺伝要因と環境要因の関係を概説できる。
⑦薬剤の有効性や安全性とゲノムの多様性との関係を概説できる。
C-4-6) 腫瘍
②癌の原因や遺伝子変化を説明できる。
E-1-1) 遺伝医療・ゲノム医療と情報の特性
③生殖細胞系列変異と体細胞変異の違いを説明でき、遺伝学的検査の目的と意義を概説できる。

各講義で指定されている教科書の該当箇所や、事前に配布する講義資料に目を通し、要点や疑問点を整理してから講義に臨むこと。講義では毎回小テストを実施する。

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

高校卒業レベル相当の生物学と化学の知識および、遺伝生化学Ⅰでの学修内容を必要とする。染色体、ゲノム、遺伝子の概念や、DNAの複製と遺伝情報の発現 (転写と翻訳)について概説できるように整理しておくこと (15分)。

ユニットの評価について(フィードバック含む)

本ユニットでは、Ⅲ学期末の試験帯に実施されるサブ領域「生体物質の科学③」の定期試験で90%、各講義時間での小テストで10%の比率で評価する。定期試験は、ユニット「代謝生化学II」 (得点配分60点)と合わせて実施し、本ユニットの得点配分は40点である。原則として可(レベルC)以上を合格基準とするが、サブ領域全体で不合格の場合は、本ユニットも再試験となる。評価の詳細は、「教育の評価」を参照すること。定期試験の評価開示後はオフィスアワーに個別の質問を受ける。

指定教科書他

A. エッセンシャル細胞生物学(原書第5版)、中村桂子/松原謙一/榊佳之/水島昇 監訳、南江堂、2021 (ISBN: 978-4-524-22682-5)
B. カラーイラストで学ぶ「生化学」、鈴木敬一郎ら、メディカルビュー社、2017 (ISBN: 978-4-7583-0098-8)