領域名称: 生体の構造1 (2023年度)

領域責任者船戸 弘正

領域について

 『生体の構造1』領域の学修目標は、人体の正常構造とその機能的意義について学ぶことである。人体を構成する基本的な生命単位は細胞であり、それらが集まって臓器、組織を構成する。形態学的な視点から、人体を統合的に理解するための基盤となる知識を身につける。
 
 
 生体の構造1-①では、細胞および組織の基本的な構成要素とそれらの構造について学ぶ。
 生体の構造1-②では、運動器・末梢神経系および呼吸・循環器系の肉眼解剖学、組織学および発生学を学ぶ。
 生体の機能1-③では、消化器系および内分泌・泌尿生殖器系の肉眼解剖学、組織学および発生学を学ぶ。
 生体の構造1実習では、生物学、骨学、組織学総論および組織学各論を内容とする実習を行い、基盤的知識を統合的に身につける。
 
 医学教育モデル・コア・カリキュラムの大項目
 A医師として求められる基本的な資質・能力(生体の構造1実習)
 C医学一般(生体の構造1-①)
 D人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療(生体の構造1-②/1-③、生体の構造1実習)

領域の評価について

 領域『生体の構造1』を構成する全サブ領域のGPA評価がグレードC以上である場合、『生体の構造1』領域が合格と判定される。
 

サブ領域名称: 生体の構造1-② (2023年度)

サブ領域責任者佐藤 二美

サブ領域について

「生体の構造1-2」は、「運動器・末梢神経系」ユニットと「呼吸・循環器系ユニット」の2つのユニットから構成される。人体の構造を系統別に、それぞれ肉眼解剖学、組織学、発生学の観点から統合的に学修する。
各ユニットの学修内容の概要を以下に記す。
〇 運動器・末梢神経系:運動器および末梢神経系の肉眼および組織構造と発生・分化について学ぶ。
〇 呼吸・循環器系:呼吸器および循環器系の肉眼および組織構造と発生・分化について学ぶ。

<関連する医学教育モデル・コア・カリキュラム>
C-2 個体の構成と機能:C-2-2)-(1) 組織・各臓器の構造と機能、C-2-2)-(2) 器官の位置関係、C-2-3)-(2) 神経による情報伝達の基礎、C-2-4) 個体の発生
D-2 神経系:D-2-1) 構造と機能、D-2-1)-(1) 神経系の一般特性、D-2-1)-(2) 脊髄と脊髄神経、D-2-1)-(3) 脳幹と脳神経、D-2-1)-(7) 自律機能と本能行動
D-3 皮膚系:D-3-1) 構造と機能
D-4 運動器(筋骨格)系:D-4-1) 構造と機能
D-5 循環器系:D-5-1) 構造と機能
D-6 呼吸器系:D-6-1) 構造と機能

ユニット名称:[MM643-101J]運動器・末梢神経系(2023年度)

ユニット責任者佐藤 二美
ユニット対象学年1 ユニット授業期間2期 ユニット時限数13 ユニット分類講義

ユニットについて

生体の構造領域において系統別に人体構造を学ぶにあたり、まずその基本として骨格系から開始する。2個以上の骨は連結して関節を構成し、骨格筋は関節をまたいで付着し、骨格筋の収縮によりヒトは運動が可能となる。骨格筋の収縮は大脳からの指令が末梢神経を通じて伝わることでおこる。このように本ユニットでは骨格系に続いて、関連領域であるところの筋系(合わせて運動器系という)と末梢神経系について学ぶ。特に骨格系は今後の人体全体の構造を学ぶ基本になるので、単に骨の名称を知ることを目的とせず、構造の意義について考察し理解することを目的として学ぶ。
人体には200あまりの骨と軟骨がお互いに連結してつくる骨格があり、これが支柱となって体の形を保持している。頭蓋は脳、脊柱は脊髄、胸郭は心臓や肺などの胸部内臓を容れてこれらを保護している。また、2個以上の骨は連結して関節を構成する。さらに、骨格系は人体各部を区分する基準を提供するために、人体の構成秩序を考える上で不可欠な構造である。骨格系について、脊椎動物の基本構造からその成り立ちを理解したのち、骨の名称と構造、各関節の構造と運動について学ぶ。
末梢神経系は、中枢神経系(脳と脊髄)と身体各部を連絡する神経であり、脳神経と脊髄神経からなる。末梢神経系は、身体内外からの感覚情報を受け取り、中枢神経系に伝え、そこからの指令を骨格筋(随意筋)や内臓(平滑筋や腺)に伝えて運動を起こす神経から成り立っている。ヒトが意味のある動き(運動)をするためには、この骨格筋や内臓に神経系からの指令が伝えられる必要がある。
末梢神経系の全体像と脊髄神経支配の基本を理解したのち、末梢神経系と筋系とを融合させて、運動系として学ぶ。各筋の名称と配置、骨格との関連性、構造の特徴とその機能、作用、神経支配について学ぶ。合わせて筋・骨格系の発生について学ぶ。
一方、神経系は機能的な観点から、体性神経系と臓性神経系に区分できる。臓性神経系は自律神経系とよばれ、身体内部の情報を受け取り、主に循環、呼吸,消化、泌尿、生殖などの植物機能を調節する。臓性運動系は機能的に拮抗する交感神経系・副交感神経系に分類されており、自律神経系の構成と内臓への神経分布について学ぶ。
運動器系・末梢神経系を統合的に理解し、得られた知識により、さらに上級の学年での各種の画像診断、運動器疾患、および神経系疾患などを基本的な面から理解することが可能となる。


このユニットは、モデルコアカリキュラムの「D-2 神経系 D-2-1) 構造と機能、D-2-1)-(2) 脊髄と脊髄神経 D-2-1)-(3) 脳幹と脳神経 D-2-1)-(7) 自律機能と本能行動」「D-4 運動器(筋骨格)系 D-4-1) 構造と機能」と関連している。

準備学修については、各講義スケジュール欄に記載しているので、確認して、講義に臨むこと。




受講前に必要とされる知識及び技能・態度

高等学校の生物学および「生体の構造1-①」で学んだ解剖学総論に関する知識、さらに生体の構造についての概略的な知識が必要である。

事前学修の内容については、各講義スケジュール欄に、各講義内容に合わせて具体的に記載しているので、きちんとチェックして準備すること。それらの各回の講義内容を事前に確認し、真摯に講義に取り組む姿勢が大事である。

ユニットの評価について(フィードバック含む)

第Ⅱ期末に多選択式及び論述形式の筆記試験を行う(多選択式の割合は10%程度)。筆記試験において、到達目標に掲げた項目について、的確に論述できることを単位認定の条件とする。合格基準はグレードC以上。
運動器・末梢神経系ユニットの評価は、「生体の構造1-2」サブ領域の中で行われる。評価割合は「生体の構造1-2」サブ領域評価の50%を占める。50%内の評価の比率は、骨10%、肉眼解剖学(骨以外)30%、発生学10%である。


評価の開示後、3日間に限り、昼休みに個別の質問を受ける。詳細は別途掲示する(日程の都合により、開示後3日間に限らないこともあるため)。

指定教科書他

1.教科書
特に指定しない。講義初日に参考書として簡単に説明する。
2.参考書(他にも講義の際に様々な本を紹介する)
A.「解剖学 分担1(総説・骨学・靭帯学・筋学)改訂第11版」森於菟 他著、金原出版 (1950/5/1) ISBN-13: 978-4307003414
B.「解剖学 分担2(脈管学・神経系)改訂第11版」平沢興 他著、金原出版 (1950/5/1) ISBN-13: 978-4307003421
C.「日本人体解剖学 上巻(骨格系 筋系 神経系)」金子丑之助 (原著)、南山堂(2020/3/27)ISBN-13: 978-4525101008
D.「ムーア臨床解剖学 第3版」 坂井建雄 監訳、MEDSi(2016/5/26)ISBN-13: 978-4895928410
E.「集中講義 解剖学」 坂井建雄 他著、メジカルビュー社(2012/3/30)ISBN-13: 978-4758300889
F.「プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版」Schunke 他著、坂井建雄 他訳、医学書院(2016/12/26)ISBN-13: 978-4260025348
G.「人体解剖学ハンドブックーカラー版ー(1)(2)」大谷修監訳、西村書店、ISBN-13: 2000978-4890132874 ISBN-13: ‎ 978-4890132881
H.「ラングマン人体発生学 第11版」T.W. Sadler著、安田峯生訳、MEDSi (2016/2/29) ISBN-13: 978-4895928397
I.「人体発生学講義ノート(第2版)」塩田浩平著、金芳堂(2017/12/22) ISBN-13: ‎ 978-4765317405

授業日程一覧(ユニット名称:運動器・末梢神経系) (2023年度)

コマ数形態授業タイトル
1 講義骨格系総論、体幹の骨
2 講義神経系総論・筋系総論
3 講義体幹筋と脊髄神経
4 講義上肢の骨
5 講義上肢筋と支配神経
6 講義下肢の骨
7 講義下肢筋と支配神経
8 講義頭蓋骨
9 講義筋・骨格系の発生
10 講義四肢筋の比較と対応
11 講義頭頸部の筋と神経
12 講義頭頸部の発生
13 講義自律神経系
評価生体の構造1-②(10:00~11:30・2実)
評価生体の構造1-②(再)(10:00~11:30・2実)
評価生体の構造1-②(最終)(13:00~14:30・2実)