東邦大学医学部 教育ポータル

領域名称: 臨床実習(5年次) (2022年度)

サブ領域名称: 臨床実習2 (2022年度)

ユニット名称: 総合診療・救急 (2022年度)

ユニット責任者瓜田 純久、本多 満
ユニット対象学年5 ユニット授業期間 ユニット時限数0 ユニット分類実習

ユニットについて

医学を学ぶとき、医学はあたかも成熟した科学と錯覚してしまいます。とくに、ひとつの答えを求める「試験」への対応を重ねていくと、1対1のシンプルな対応関係を数多く記憶に納め、離散的で不連続な思考回路が形成されてしまします。医学は言うまでもなく不確実であり、発展途上にあることに異論を唱える医師はいません。我々が対象とする「生命」の定義が曖昧であり、数十兆の細胞相互作用の表現型として「ヒト」が存在していることによります。

このような背景から、総合診療科における診療参加型実習では、以下の2点を学生の皆さんとともに考えていきたいと思います。

1.還元論、決定論的な診断・治療法
生体を細かく分割して考え、鑑別診断を列挙して最終診断に辿りつくオーソドックスな還元論的内科鑑別診断について復習します。臨床推論の方法として、問診および身体所見などで情報を集め、絞り込みを行って画像診断、血液生化学的検査、生理機能検査を計画していく従来の方法について、指導医とともに実践していきます。チーム医療の一員として反復トレーニングを重ね、診断力、臨床対応力を磨きます。

2.複雑な相互作用を意識した臨床推論
初期値が決まれば時間を経て発現する最終形が決定されるという決定論と異なり、初期値の小さな誤差が指数関数的に増大し、最終的に大きな変化となり病態を形成していく可能性について考えてみます。ある臓器の疾患が他臓器にどのような影響を与え、その治療薬が他臓器にどのような影響を及ぼすのか、紙と鉛筆で展開する臨床推論に挑戦していきたいと思います。

3.どのような症例にも共通する 臓器横断的な生体の仕組みを臨床推論に組み込む
 ①イオンサイズとチャネル ②イオン化傾向と生体反応 ③ネットワークとニューロン ④三大栄養素の生体内の流れ ⑤血管分岐形態と疾患 ⑥感染症数理モデル ⑦痛みシステム ⑧べき乗則とボルツマン分布 ⑨疾病が作り出す形態と次元 など

 系統講義では学ばないことを、時間の有る限り議論を通して、臨床推論に組み込んで行きたいと思います。
 

受講前に必要とされる知識及び技能・態度

「痛み」「発熱」についての病態を学修してきてください。痛みについては、身体の部位によって共通する症状発現機序、部位によって異なる病態など、基礎医学の観点から復習すると、実習が極めて効果的です。

ユニットの評価について(フィードバック含む)

実習では連日指導医からフィードバックを行いますが、その際miniCEX, DOPにより形成評価が行われます。また、実習中にチーム医療のスタッフであるコメディカルからはpMEXによって形成評価が行われます。実習の最終日には診療部長により、総括評価を行います。その評価は上記1,2について実施し、実践能力とともに、柔軟な思考回路の涵養を大きく評価していきます。

指定教科書他

病院総合診療医学Ⅰ症候編・Ⅱ病院管理編(大道学館):日本病院総合診療医学会