東邦大学医学部 教育ポータル

領域名称: 生体の構造2 (2022年度)

サブ領域名称: 生体の構造2実習 (2022年度)

ユニット名称: 生体の構造2実習Ⅰ(マクロ解剖学実習) (2022年度)

ユニット責任者佐藤 二美
ユニット対象学年2 ユニット授業期間実習 ユニット時限数96 ユニット分類実習

ユニットについて

マクロ解剖学実習の目的は、人体の諸構造とその構成秩序を実物に基づいて理解することである。解剖学用語と実物の単なる照合に終始するのではなく、諸構造について充分に観察し、かつ考察することが重要である。これにより、他の基礎医学や臨床医学に適応可能な解剖学的知識を体得することができる。本実習は貴重な人体を用いた実習であり、ご遺体に直面して人間の死および生命の尊厳について真摯に考察することにより、医の倫理の根底を培うことを目的としている。

実習は 実習計画書の詳細に基づいて、小グループ(原則として5人)が1体のご遺体を解剖する。最初の25回で体幹、胸腹部内臓、上肢、下肢、骨盤臓器、頭部・顔面の解剖を行う。重要な部分の解剖ではスケッチを課す。第26回が納棺である。最後の4回で脳・脊髄の解剖を行う。

事前連絡あるいは特別な理由がない場合の遅刻は原則として認めない。また、毎回の実習では、その日の実習内容をこなし、知識を確実にしておかないと、次回の実習ではその続きから始めるため取り返しがつかない。着実に実習を行うべきである。膨大な量の学修内容があるため、ある程度のまとまりごとに、知識を確認するための実習試験を行う。今年度は4回を予定している。

なお、本ユニットは、以下の医学教育モデルコアカリキュラムに該当している。
A-1 プロフェッショナリズム A-1-3) 医師としての責務と裁量権
A-2 医学知識と問題対応能力 A-2-1) 課題探求・解決能力 A-2-2) 学修の在り方
A-4 コミュニケーション能力 A-4-1) コミュニケーション 
A-5 チーム医療の実践 A-5-1) 患者中心のチーム医療
D-2 神経系 D-2-1) 構造と機能
D-4 運動器(筋骨格)系 D-4-1) 構造と機能
D-5 循環器系 D-5-1) 構造と機能
D-6 呼吸器系 D-6-1) 構造と機能
D-7 消化器系 D-7-1) 構造と機能
D-8 腎・尿路系 D-8-1) 構造と機能
D-9 生殖機能 D-9-1) 構造と機能
D-12 内分泌・栄養・代謝系 D-12-1) 構造と機能
D-13 眼・視覚系 D-13-1) 構造と機能
D-14 耳鼻・咽喉・口腔系 D-14-1) 構造と機能

 
準備学修については、各実習スケジュール欄に記載しているので、確認して、講義に臨むこと。



受講前に必要とされる知識及び技能・態度

各臓器別に学んだ構造や機能の知識、局所解剖学ユニットで学んだ知識が必要である。
実習で提供されるご遺体は、無条件・無報酬で献体されたものであり、献体された方の期待に応えるべき責任がある。献体に対する感謝を忘れず、誠実な態度で実習に臨むこと。 
教員の指示に従い、自分一人の判断で勝手な行動をしないこと。
実習中はみだりに所定の位置を離れ、また雑談や騒がしい行為など他人の実習を妨げることをしないこと。
きちんとした習慣を身につけた成人として、自分の行動に責任をもって行動すること。

事前学修の内容については、各実習スケジュール欄に、各実習内容に合わせて具体的に記載しているので、きちんとチェックして準備すること。それらの各回の実習内容を事前に確認し、真摯に実習に取り組む姿勢が大事である。

ユニットの評価について(フィードバック含む)

生体の構造2実習サブ領域の出席が4/5以上を満たしたもの、課された提出物(スケッチ・感想文・レポートなど)を提出したものをユニット評価の対象とする。また、ご遺骨返還式・慰霊祭への出席を必須のものとする。

評価は4回の実習試験の成績および実習態度、提出物・E-learningによる自己学習内容などを点数化し、総合的に判断する。なお本ユニットの評価は、生体の構造2実習サブ領域の90%を占める。

4回の実習試験によって知識の定着が不十分と思われる学生を対象に、適当な時期に再試験を実施し、知識部分の再評価を行う。
実習試験結果開示後、2日間に限り、昼休みに個別の質問を受ける。詳細は評価開示後、別途掲示する。考慮すべき特殊な事情がある場合には、ある程度対応したのち、再々評価を行う場合もある。
ユニット評価は実習試験評価のみではなく、態度を含めた総合評価であるため、実習再試験非対象者、再試験合格者がユニット評価合格であるとは限らない。

実習試験(知識評価)においては、確実に実習内容を把握し、実物と対応できているかどうかを評価する。毎実習時に剖出し、かつ把握すべき構造物は実習書に記載されている項目である。実習試験は正確な人体構造の知識(構造物名、位置、周辺構造物との関係)、主な構造物の英語名、構造物の機能的・臨床的意義に関するなどについての記述試験である。画像を用いた試験を予定している。
 実習態度は、ご遺体の扱い、グループ作業への貢献、解剖台周辺の整理整頓・清掃状況、納棺時でのご遺体への対応など、配布してある「解剖学実習時についての注意事項」を遵守しているか、「解剖学実習の心得」で記載されている態度で実習に臨んでいるかで評価する。
著しくアンプロフェッショナルな行動をとった場合は、それだけでユニット不合格となる場合がある。


本ユニットF−評価は不合格であり、「実習未修了」扱いとなる。したがってサブ領域「生体の構造2実習」は未修了である。


指定教科書他

1.教科書(最後の4回の実習「中枢神経系の実習」時には、別途、紹介する)
A.「解剖実習のてびき(第11版)」寺田、藤田著 南山堂(2004/1/8)ISBN-13 : 978-4525103118

以下のアトラスの例を参考に、実習前にアトラスをいずれか1冊用意する。
B.「解剖学カラーアトラス 第8版」J.W.Rohen 横地千仭 E.Lutjen-Drecoll著、医学書院(2016/2/8)ISBN-13 : 978-4260024433
C.「グラント解剖学図譜 第7版」Anne M.R. Agur著、坂井建雄 他訳、医学書院 (2015/12/21) ISBN-13 : 978-4260020862
D.「グレイ解剖学アトラス 原著第3版 」Richard L.Drakeら著 秋田恵一訳、エルゼビア・ジャパン(2021/9/25) ISBN-13 : 978-4860346706
E.「プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版」Schünkeら著、坂井・松村監訳 医学書院(2016/12/26) ISBN-13 : 978-4260025348
F.「プロメテウス解剖学アトラス 頸部/胸部/腹部・骨盤部 第3版」Schünkeら著、坂井・大谷監訳 医学書院(2020/2/10)ISBN-13 : 978-4260039277
G.「プロメテウス解剖学アトラス 頭頸部/神経解剖 第3版」Schünkeら著、坂井・河田監訳、医学書院 (2019/3/1) ISBN-13 : 978-4260036436


2.参考書(その他、講義に際して様々な本を紹介している)
A.「解剖学 分担1,2」森於菟 他著、金原出版(1950)ISBN-13 : 978-4307003414  ISBN-13 : 978-4307003421
B.「日本人体解剖学 上、下」金子丑之助 原著、南山堂(2020)ISBN-13 : 978-4525101008  ISBN-13 : 978-4525101107
C.「グレイ解剖学 原著第4版」、秋田恵一 訳 エルゼビア・ジャパン(2019) ISBN-13:978-4860346607
D.「カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版 改訂第4版」坂井建雄 他著、日本医事新報社(2021/1/25) ISBN-13 : 978-4784931811
E.「解剖実習カラーテキスト」坂井建雄 著、医学書院(2013/3/27) ISBN-13 : 978-4260017022
F.「標準解剖学」坂井建雄 著、医学書院(2017/3/6) ISBN-13 : 978-4260024730