科目名称:[MM360-102J]選択化学Ⅱ(2023年度)
科目責任者 | 池﨑 章 | ||||||
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科目対象学年 | 1~3 | 科目授業期間 | 秋学期 | 科目時限数 | 15 | 科目分類 | 講義 |
科目について
分子は精密な機能と性質を有している。本講義を受講することで生体関連分子や分子の持つ精密な機能、性質を化学の視点で詳細に学修する機会が得られる。本講義は最新の研究成果を含み、必修科目で触れられないアドバンスな内容である。研究の思考力を養い、研究マインドを涵養することを目的とする。具体的には分子の機能を理解するために必要な分子軌道や生体反応をより高いレベルで理解するためのアドバンスな立体化学、分子の性質を理解するためのNMR、芳香族性と環電流効果との関連、結合軸周りの回転と環状化合物の環の反転運動に伴う動的立体化学、ヘム及び活性中心近傍のアミノ酸による酸素親和性の制御、最新の研究による金属タンパク質と生物無機化学のモデル錯体などを学修する。ユニットの学修目標と達成目標
1) 分子軌道について説明できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1)
2) 分子の対称性からキラル、アキラルを判定できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1)
3) 等価な原子とプロキラルについて説明できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1, C-2-5)
4) NMRスペクトルを説明できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1)
5) 環電流効果から芳香族を説明できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1)
6) 分子の運動を説明できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1)
7) 光の吸収を説明できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1)
8) 酸素結合能と生命現象について説明できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1)
9) 金属タンパク質の反応機構を説明できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1)
10) モデル化合物を説明できる(モデル・コア・カリキュラム A-8-1)
モデル・コア・カリキュラム A-8-1, C-2-5
自学自修を推進するため、プリントは講義前に事前配布される。
毎回、授業中にレポートを課す。
参考書はより深く学ぶための発展的なものであり、準備学修として必須ではないが、
必要事項を各回に示す。
準備学修
講義聴講前に、各日程に記載されたことについて考えておくこと。(約20分)
授業終了後、レポートを提出する。配布資料と授業を参考にすること。(約40分)
アクティブラーニングの要素
授業開始時に授業で取り扱う項目について考える問題があり、周囲の学生とその結果について話し合う。
授業内容の理解を深める目的で授業内にレポート作成の時間が設けられている。
数名の少人数グループで、授業内容について討論する。
一部、分子と軌道に関するモデルを紙で作りながら確認する。
一部、体を使いながら授業内容の概念を理解する。
フィードバック
レポートは授業中に模範解答を示す。
評価の開示後、1週間以内に要望に応じて対面またはメールで質問を受けつける。質問内容に対面またはメールで回答する。
受講前に必要とされる知識及び技能・態度
生体無機化学ユニットと生体有機化学I, IIユニットの知識を必要とする。これらの授業で行った原子軌道や電子の軌道への入り方の規則、立体化学を理解しておくこと(20分)。積極的に講義に参加する態度を必要とする。科目の評価について
評価は「選択化学II」1つの科目で行う。GPA評価でグレードC以上で、この科目が合格となる。
科目の評価はレポートを100%として行う。毎回授業中に出席者にレポートを課す。提出期限までに授業出席者が提出したレポートを評価する。全レポートの配点を100点満点とし、レポートの総合得点が60点以上で合格とする。
フィードバックについて
レポートは授業中に模範解答を示す。
評価の開示後、1週間以内に要望に応じて対面またはメールで質問が受けられ、フィードバックが受けられる。
指定教科書他
参考書各回の授業では1つの参考書で学修できず、複数の分野にまたがっている。
参考書の学修内容は()で示す。
1 基本無機化学 第2版 東京化学同人 荻野博、飛田博実、岡崎雅明著、出版年 2006年
ISBN 978-4-8079-0625-3
(分子軌道)(第1回)
2 分子の対称と群論 東京化学同人 中崎昌雄著、出版年 1973年 ISBN4-8079-0086-2
(分子の対称性)(第2回)
3 立体化学 東京化学同人 大木道則著、出版年 2002年 ISBN 4-8079-0550-3
(動的立体化学など)(第3回)
4 マクマリー有機化学 上、中 東京化学同人 JOHN McMURRY著 訳
上 出版年 2009年 ISBN 978-4-8079-0698-7 (第3回)
中 出版年 2009年 ISBN 978-4-8079-0699-4 (第5回)
(プロキラリティ、芳香族性など)
5 有機化学命名法 IUPAC2013勧告および優先IUPAC名 東京化学同人 H.A. Favre、W.H. Powell編著 日本化学会命名法専門委員会訳著、出版年 2017年 ISBN 9784807909070
(CIP則、立体配置、立体配座など)(第3回)
6 NMR入門 東京化学同人 J.W. AKITT著 広田穣訳、出版年 1994年 ISBN 4-8079-0407-8
(NMR)(第4、6回)
7 光化学 基礎と応用 東京化学同人 村田滋著、出版年 2013年 ISBN978-4-8079-0829-5
(UV-Visスペクトル、光の吸収の定量的関係、光の吸収の原理、光増感)(第7、8、9回)
8 配位化学 -金属錯体の化学- 化学同人 F. BASOLO, R.C. JOHNSON共著 山田詳一郎訳、出版年 1987年 ISBN4-7598-0168-5
(金属錯体の性質、電子構造など)(第11、12回)
9 基礎生物無機化学 丸善出版 吉村悦郎著、出版年 2014年 ISBN 978-4-621-08812-8 C 3043
(金属を補欠分子族に含む酵素の反応機構など)(第10、11、12、13、14回)
10 生物無機化学 朝倉化学大系12 朝倉書店 山内修、鈴木晋一郎、櫻井武著、出版年 2012年 ISBN978-4-254-14642-4 C3343
(金属を補欠分子族に含む酵素の反応機構、モデル研究など)(第10、11、12、13、14、15回)
11 Fundamentals of Porphyrin Chemistry: A 21st Century Approach, Volume 2 Wiley Penelope J. Brothers, Mathias O. Senge Editors 出版年2022 ISBN:9781119129301
(ポルフィリン鉄錯体の電子状態、モデル研究など)(第10、11、12、15回)
授業日程一覧(ユニット名称:選択化学Ⅱ) (2023年度)
コマ数 | 形態 | 授業タイトル |
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1 | 講義 | 分子軌道 |
2 | 講義 | 分子の対称操作と対称要素 |
3 | 講義 | 等価な原子 |
4 | 講義 | NMR(核磁気共鳴) |
5 | 講義 | 芳香族1:研究的な視点の涵養 |
6 | 講義 | 芳香族2:環電流効果 |
7 | 講義 | 動的立体化学 |
8 | 講義 | UV-Visスペクトル |
9 | 講義 | 光の吸収 |
10 | 講義 | 酸素結合タンパク質1 |
11 | 講義 | 酸素結合タンパク質2 |
12 | 講義 | 酸素結合タンパク質3 |
13 | 講義 | 亜鉛タンパク質の反応機構 |
14 | 講義 | スーパーオキシドディスムターゼの反応機構 |
15 | 講義 | モデル研究と研究から |